血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

結果より原因に切り込め・・・とはいうものの。

私が医学生の頃、所属していた医学英語のサークルでフィンランドの先生をお招きして勉強会をしていました。彼は今では当たり前になったキシリトールの研究をされていましたが、当時はまだ、誰もそんな物質を知りませんでした。

 

ある時、勉強会で当てられ質問されました。

「今、最も急いで発展させなければならない医療分野は何ですか?」

 私はしばらく考えて「救急医療です」と答えました。

 

当時、交通事故死者数が年間一万人を超え、まさにこれが喫緊の課題だと思ったからです。昭和30年代(1955年 - 1964年)以降交通事故死者数の水準が日清戦争での日本側の戦死者(2年間で1万7,282人)を上回る勢いで増加したことから、当時交通戦争という言葉があったくらいです。

 

しかし、彼の反応は意外なものでした。「それは事故を減らせば済むことだ。医療ではなく交通行政の仕事ではないのかね?」

 ・・・・確かに。

 

私が専門にしている疾患の一つ、大動脈瘤も同じかも知れません。まずは動脈硬化と高血圧を減らすことが一番の早道なのです。私たちのしている治療はいつか過去のものとなる。なって欲しいのです。

「昔は大動脈瘤なんて病気があったんだってよ。へえ!怖かったね-」なんて医学生が会話している姿を夢見て、それまでの、きっと短くはない道のりを歩んでいるのです。

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穴があったらどうしよう

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「穴があったら入りたい」って、思ったことあるかな?
そんなとき、もし本当に穴があったら、君は入る?
もし入るとしたら、いつまではいっていようか?
そおっと穴から顔を出した時、君がみる景色はどんなもの?

 

「墓穴を掘る」なんていうじゃない?もしそんな穴、
掘っちゃったら、君は落っこちてみる?
もし落っこちてみるとしたら、いつまで中で倒れていようか?
痛みにたえて穴から顔を出した時、君がみる光景はどんなもの?

 

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とかって故事諺、信じてる?
もしそんな穴に入ったら生きて出られるなんて君は思うかな?
傷だらけになって穴から顔を出した時、君には何が残ってる?

 

そうさ!世の中いっぱい穴があいているけど、全部入っちゃいけない穴なんだ。
大事な時間を失ったり、信用をなくしたり、自信や元気を吸い取られたりする穴がたくさん口を開けているのがこの世の中なんだ。

 

ちょっと穴の中で閉じこもりたいこともあるかもしれないね。

でも勇気を出して穴の外に留まろう。
穴を掘っても落ちなきゃいいさ。

魅力的な穴を見つけても、それが自分に向いていないのなら、あっさり陽の当たる道を行けばいい。

ワニの謎

ワニと言えば、通常、クロコダイルかアリゲーターを指し、それらは日本には棲息していない(はず)。しかし、日本にも「鰐」という文字があり、これを「ワニ」と読む。古代日本語で「鰐」は、今で言う鮫のことを指した。現代では、爬虫類のワニを漢字で書くとき「鰐」を当てて良いことになっている。

 

因幡の白ウサギで、兎が隠岐から本州へ渡るのに利用したのは、古事記などでは「和邇」と書かれており、これが鰐という字に代わったようだ。山陰地方では鮫のことをいまでも、鰐と呼ぶ。

 

つまり日本では鰐と書いた場合、時代によって意味が違う。古代なら鮫、現代なら、爬虫類のワニである。

ワニの恩返しに登場するワニはラコステブランドだから、鮫ではなく、正真正銘の爬虫類である。多分どこか外国からやってきたに違いない。
Wikiによればフランスだ。

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