血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

ランタナにキタテハ

真夏の光の下、活動的に飛び回る。昆虫も暑さを感じるはずなのに。 キタテハ ランタナの方は、写真下部に、ゴツゴツした緑色の実を結びつつある。まるでグレネード(手榴弾)のようだ。これが炸裂したら…。確かに、帰化植物の域を超えた、侵略植物と言われて…

癌とガンとがん

がん、癌、ガン、腫瘍、肉腫、悪性新生物、cancer、sarcoma、tumor、neoplasm、そしてmalignancy。 普段何気なく使っている言葉。あなたは正しく文字を選べますか? まず、生物の身体には、ある時、異常に増殖した細胞が現れることがあります。それが固形を…

散形花序?

散形花序 帰り道、遠くに太平洋を望む、日当たりの良いなだらかな坂道を登りきったところで、そいつらは、この世の春を謳歌していた。土砂で詰まりかけた側溝に沿って、たくさんのvivid な散形花序(後述)が群生している。 GreenSnap に尋ねたら、今回も一…

驛舎

〜眠り・夢・恋〜 いつからだろう?夢をあまり見なくなった。中高生の頃は、夢の中の出来事で悲しい思いをすると、涙を流しながら夜中に目覚めたりすることが、しばしばあったのに。 でも昨夜、そんな夢が久しぶりに訪れた。セロトニンがたくさんでればいい…

感慨

長丁場の学会が終わり、ANA便で福岡を後にし、帰途に着いた。明日はまた、青空が映るまで靴を磨き、新たな一歩を踏み出そうと思う。 しかし今は、寂しいような、もう体力の限界のような、そんな気分でもある。毎日が「やりたいことと、やれることのギャップ…

IVR(アイブイアール)?

針の穴から行う治療? 良く、先生は何科ですか?と訊ねられます。一応、放射線科です、とは答えますが、これで私のしている仕事を理解していただけることは、 ほぼありません。 まず、放射線を照射して主に癌の治療を行う「放射線腫瘍科や放射線治療科」とは…

横浜は特別な場所

4月第三週の木曜から日曜まで、僕ら放射線科医にとって、年に一度の大規模な学会が開催される。巨大過ぎて、もはやここパシフィコ横浜でしか開催できなくなっている。 ラジエーションハウスというドラマがまあまあの滑り出しのようだが、この学会はまさにそ…

一期一会

一期一会という言葉がある。 このIT社会、ジェット機で地球の裏側まで、スペースシャトルで宇宙ステーションにまでいける社会では、もう死語になっただろうか? ニルスのふしぎな旅に登場する、「呪いを受け百年に一度、一時間だけ姿を現す港町ビネタ」は、…

ゆりのき

昨夜は高校のクラス会で遅くなり、とある街の東横インに泊まった。朝、駅まで歩いているとき、ふと街路樹がユリノキであることに気づいた。 モクレンの仲間で、花はユリというよりチューリップに似ている。北米原産で英語ではチューリップツリーと言うらしい…

風が巻く道

仕事に疲れたとき、この空を眺めにこの場所に来る。ここは地下の搬入口。地上と地下をつなぐ細い抜け道。行き場を失って巻いている風は、そこで立ちつくす人の耳元でささやく。私はどっちに吹けばいいの、あなたはどっちに吹きたいの、と。未練を残す初夏の…

肝臓がんビーズ治療○かじり

これまで記した肝臓がんの化学塞栓療法(ビーズ治療《ビーズTACE》)の記事をまとめてみました。専門職の方はもちろん、多くの方に病気予防や治療の予備知識としてご活用頂ければ幸いです。 【ビーズ治療(TACE)の施行ポイントはこちら】 【ビーズ治療(TAC…

結果より原因に切り込め・・・とはいうものの。

私が医学生の頃、所属していた医学英語のサークルでフィンランドの先生をお招きして勉強会をしていました。彼は今では当たり前になったキシリトールの研究をされていましたが、当時はまだ、誰もそんな物質を知りませんでした。 ある時、勉強会で当てられ質問…

北の国から2015 初めての北陸新幹線

初めての北陸新幹線。 1人がけのシートは快適そうですが…あれ?シートベルト!? これからどんなアトラクションが楽しめるのか、ドキドキしますね。

穴があったらどうしよう

「穴があったら入りたい」って、思ったことあるかな?そんなとき、もし本当に穴があったら、君は入る?もし入るとしたら、いつまではいっていようか?そおっと穴から顔を出した時、君がみる景色はどんなもの? 「墓穴を掘る」なんていうじゃない?もしそんな…

ワニの謎

ワニと言えば、通常、クロコダイルかアリゲーターを指し、それらは日本には棲息していない(はず)。しかし、日本にも「鰐」という文字があり、これを「ワニ」と読む。古代日本語で「鰐」は、今で言う鮫のことを指した。現代では、爬虫類のワニを漢字で書く…

さびしい

寂しい淋しいさびしいさみしいあなたは使い分けていますか?公用表現、そして常用漢字では「さびしい(寂しい)」を使いますが、「淋しい」も誤用ではありません。あえていえば、漢字の成り立ちから考えると、「寂しい」には「あるはずのものが、あるべきと…

サイジング(メジャーメント)

大動脈瘤をステントグラフトで治療するためには、完全に瘤と血流を遮断することが必要です。そのためには、瘤の入り口(心臓側)と出口(末梢側)に、少しずつ余裕を持たせてグラフトを置かなければなりません。これをシーリングゾーンといいます。そうしな…

プロバンスの結婚式 最終回

翌日、僕の宿泊するホテルに集合した5人は海へと出かけた。せっかく地中海まで来たのだから海水浴をしなければ。 ホテルのプライベートビーチへ行き、夕方まで巨大な砂の楼閣を作り、泳ぎ、そして昨夜のことを思い出しながら青空を見上げた。海の水はまだ冷…

プロバンスの結婚式⑤

プロバンスの結婚式はいよいよ佳境に入った。そこは瀟洒なレストラン。手入れの行き届いた南国情緒あふれる植物が、駐車場からアプローチへと導いてくれた。会場はドイツ語を話すグループとフランス語を話すグループに分けられたが、どちらにも所属する人も…

プロバンスの結婚式④

前回↓ <a href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/26/121753" data-mce-href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/26/121753">プロバンスの結婚式③ - 血管探索記</a>drmasa.hatenablog.com 役場、教会、そしてガーデンパーティと続いてきた式次第に参加していた人々は、午後になると皆、帰って行った。そこで新婦のご両親がこう仰った。 「ではこれからお昼寝をしましょう。好きな場…

プロバンスの結婚式③

前回↓ プロバンスの結婚式② - 血管探索記drmasa.hatenablog.com フラワーシャワーの祝福を受けて教会を出た新郎新婦は、参列者とともに新婦の実家へと向かうことになる。この地方では新婦サイドが結婚式の儀式一連を、取り仕切る習わしなのだ。新婦のお宅に…

プロバンスの結婚式②

&lt;a href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/17/092516" data-mce-href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/17/092516"&gt;プロバンスの結婚式① - 血管探索記&lt;/a&gt; ↑前回 結婚式はまず、モンペリエの町役場で婚姻届を提出すると…

プロバンスの結婚式①

プロバンスの結婚式(序章) - 血管探索記↑前回 ラベンダーの見頃を少し過ぎ、地中海での海水浴に向いていて、蝉時雨が聞こえていた、あれはそう、2001年7月下旬のことだった。 ドイツから車で二日がかり。途中リヨンで一泊しながらプロバンスへと南下してい…

プロバンスの結婚式(序章)

1999年6月初旬、僕のドイツ留学はゲッティンゲンという街にある語学学校、ゲーテインスティテュートからスタートした。 そこで何とはなしにできた仲良し五人組は、我が生涯の財産となった。 僕以外の四人は以下のようなメンバーだ。アメリカハーバード出身で…

性格は意識より深し

人間の性格は千差万別。一朝一夕に変わることはない。 心配性が身についている患者さんのカテーテル検査中に、挿入したカテーテルのわずかな刺激(普通の人なら何でもないレベルの刺激)が血管を激しく縮ませてしまうことがある。 これはもちろん無意識の現…

蝉時雨

数年前、僕が住んでいたアパートの目前には近鉄 河内天美の駅があり、駅前広場に植えられた数本のケヤキには、無数のクマゼミがいた。 彼らは今を盛りと蝉時雨を奏でるが、そこにミンミンゼミやアブラゼミは全くいない。関東者の僕からすれば、異様な光景、…

ホワイトボードあるある

なぜか近くに油性マジックが置いてある。

桜が肝臓に見える件

僕の眼に映る樹木は、時として僕が探索している血管構造にそっくりだ。 例えば、写真に載せたこの木は普通の桜だけれど、解剖学的に肝臓と酷似している。 図のA#というのは、亜区域動脈に付けられた番号だ。ちなみにこの画像は、左前斜位から撮られている、…

エンボスフィアを染めてみました

以前紹介した肝臓がんのビーズ治療で使用するビーズ「エンボスフィア」。 着色すると・・・着色料は秘密です。

いつまでも見ていたい空

空はいつも同じじゃない 天候のことを言ってるんじゃないよ 同じ場所、同じ季節に、同じ時間 いつも通りの光がさしていたとしても 空はまったくちがう景色をつくる いつまでも眺めていたい空が、そこにある。 (写真: 東京医科大学茨城医療センター)