血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

読み違い 聞き違い 勘違い

読み違い 聞き違い 勘違い

僕は小さい頃、祖母とよく旅をした。そんな時、国鉄の駅階段で目にしたのは「おり口」「のぼり口」の札である。これを僕は、命令形で読んでいた。

つまり「下りろ!」「上りろ!」という具合である。しかし、いくら国鉄でも客に命令はしないだろうし、第一「上る」の命令形はノボリロではない。

アホな子供である。

 

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ところで祖母には、ちょっと悲しい「聞き違い物語」がある。

祖父が肺癌で臨終の床に就いていた時、祖母に「冷蔵庫に入っている"オムライス"が食べたい」と言ったのだ。ところがそんなものは病室の冷蔵庫にはない… とうとう祖父はそのまま逝ってしまった。ところが、後で冷蔵庫をよく見たら、母が差し入れた"小倉アイス"が出てきたのである。オムライスオグラアイスは似て非なる、いや全然違うものだ。が、音はそっくりなことに気づかされた。

 

最後は父の出番だ。

僕は小中学校の9年間、千葉大学キャンパス内にある学校に、バス通学をしていた。その時利用していたバス停が「放医研」という名前である。これを聞いた父の反応がイカしていた。

 

「何でラーメン屋の名前なんかをバス停にしてんだ?おかしいだろ。」

 

家族一同、頭上に巨大な?マークを浮かべた。

勘違いとは本当に興味深い。よくよく聞いてみると、父は、放射線医学研究所の略称である放医研という言葉を知らず、頭の中で例えば「蓬炒軒(ほういけん)」、みたいに変換したのだ。これならラーメンか中華である。

 

ドイツで慕われているサンクトニコラウスという聖人が、アメリカに渡るまでの何処かで聞き違えられ、サンタクロースになった。言葉はやっぱり面白い。上るの命令形が、ノボリロ!になる日も近いかもしれない。
(ナイナイ^ ^)