血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

ガソリンスタンドの夜勤というもの その2

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僕がアルバイトをしていたガソリンスタンドは日本石油(現在のENEOS)だった。制服に着替えた状態でスタンドに到着すると、まず全員集合し、店長からのお言葉がある。そして、バイトだけ集まって大声で「規則」を叫ぶ。 

「ひとーつ!油種を確認する!」
「ひとーつ!キャップを確認する!」
「いらっしゃいませ!ありがとうございました!」 

これを声を揃えて5回やる。慣れてくると、なんか青春である。
これをやっていても、油種を間違えて夜中にJAFのお世話になったり、キャップをし忘れて高速道路本線までお客さんの車を走って追い掛けたりした同僚がいた。(もちろん追いつかなかったが。)そうかと思うと、たまにキャップのついてない車がいて、こちらに余っていた「し忘れキャップ」をサービスでつけてあげたりした。

キャップは天下の回りもの、いいかげんなものである。

 

さて仕事が始まると、正社員が二人、20時頃まで勤務して、あとはバイトが二人だけになる。一人は23時~3時、もう一人は3時~7時に就寝する。どう考えても後半に寝る方が楽である。これはじゃんけん勝負だった。片方が寝ると、一人で全てを守らなくてはならないから、突然給油が集中したりするとてんてこ舞いになる。しかもフルサービスだ。ゴミ捨て窓ふき、場合によってはエアチェック。さらに面倒なのは、1000円分、とか20リットル、とか指定される場合。今と違って自動で給油停止する機能はついていなかったので、その車に付きっきりにならざるを得ない。

 

加えて、時間のあるときに、ささっとトイレ掃除、窓ふき用のぞうきん洗濯。冬はストーブの給油。タンクローリーが到着したら運転手さんにお茶を出す。
福島の方で雪が降ると、その雪を積んだまま到着する長距離トラックとかに雪下ろしを、半ば強制されることがあり、これには閉口した。並の仕事量ではない。

 

そうこうしているうちに、直ぐ隣にある利根川から朝靄が流れてきて辺りが真っ白になると、ようやく交通量が減り、一息着ける。

 

でも、正社員が出社してくると、まだバイト達には緊張のひとときが待ち受けているのだ。

 

その3へ続く