↑前回
ラベンダーの見頃を少し過ぎ、地中海での海水浴に向いていて、蝉時雨が聞こえていた、あれはそう、2001年7月下旬のことだった。
ドイツから車で二日がかり。途中リヨンで一泊しながらプロバンスへと南下していた。コートデュローヌのぶどう畑が眼前に広がるあたりから、ドイツでは聞こえない蝉の声が聞こえてくる。高速道路のサービスエリアにはオリーブの木が増えてくる。僕の目的地は友人達が結婚式を挙げるモンペリエという街だった。
ホテルはモンペリエから程近い地中海沿岸のポートカマルグという自然保護区域の辺縁部に取っていた。
そこにはフラミンゴが自生し、湿地帯には他にも貴重な生物が棲息している。浅瀬では海水から塩の採取が行われ、隣町にはエグモルトという城塞都市が、中世当時そのままの状態で残っている。もちろん中には住民が今でも普通に生活しているのだ。城壁から見下ろした巨大な塩田や、車窓からみた野生のフラミンゴは今でも目に焼き付いている。
翌日の結婚式は、とても朝が早かった。
日本では考えられない。しかも平日である。
一体どんな仕組みになっているのか、その時はまだ知るよしもなかった。