前回↓
フラワーシャワーの祝福を受けて教会を出た新郎新婦は、参列者とともに新婦の実家へと向かうことになる。この地方では新婦サイドが結婚式の儀式一連を、取り仕切る習わしなのだ。新婦のお宅に着いてみると、もう庭にはガーデンパーティの準備万端が整っていた。
そして、そこでは既に、教会には来ていなかった、ご近所のメンバーが酒宴を始めていたのである。なんと牧歌的で愛おしい風景であろうか!
プロバンスにはマルセイユなどで作られる強いリキュール、パスティスがある。透明な蒸留酒なのに、水で割ると白濁するという興味深い酒だ。皆これをぐいぐいと飲んでいる。僕も一口頂いたが、アルコール度数が高いからではなく、その独特の風味(喩えて言えば、甘くないハーブキャンディか…)を受け付けられなかった。
このパスティスによる酒宴は数時間続き、人が出たり入ったりする。しかし、皆がゆっくりと談笑できる素晴らしいチャンスを提供してくれるのだ。僕はこのとき初めて、新婦のご両親とゆっくりお話する機会を得た。もっとも、フランス語はできないので、新婦の通訳付きではあったが。
やがてひとしきり飲み、話し、笑い合った人々は三々五々帰宅していき、庭には、仲良し五人組と新婦のご両親だけが残った。
まさかこれで終わりではあるまい、そう思っていたら、びっくりするような提案がご両親から出された。それは・・・・。