血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

プロバンスの結婚式②

 

↑前回

 

結婚式はまず、モンペリエの町役場で婚姻届を提出するところから始まった。ただ書類を出すだけではない。参列者が会議室で一堂に会し、皆が立会人となる。しかし、主たる立会人はなんと、町長夫妻であった。

 

町長は腰にフランス国旗を巻いて登場し、会議室の前方に座る。その面前で、新郎新婦と、証人である新郎の兄弟夫妻が書類にサインをするのだ。これが受理されると公式に夫婦となる。この儀式が必要なために、休日の結婚式というのはあり得ないのだ。この後に続く行事を考えても、このスタートは朝早くになる。

 

先に『参列者』と書いたが、ここには誰でも自由に参列できる。招待など要らない。この全員が町役場の前に出て、新郎新婦と一緒に記念撮影をする。もう誰が誰だか分からない。

 

ひとしきり撮影をした後、今度は次に大切な場所、教会へ向かう。役場から教会までは少し離れているのだが、車を使ったりはしない。参列者の子供が、新婦が着ているドレスの裾を持ち、皆で行列を作って行進する。

教会に到着すると、僕たちが想像するようなカトリックの結婚式が執り行われる。ただし、新郎がドイツ人、新婦がフランス人なので、それぞれの来賓を考慮して、儀式は両方の言葉を織り交ぜて行われた。夏の日差しが強いプロバンスで、ひんやりとした教会の空気、厳かな儀式の様子は今でも、肌が憶えている。

 

教会に入れる人数には限りがある。町役場に集まった多くの人たちは一旦引き上げたかに見えた。しかし、それは僕の思い違いだったのである。

 

プロバンスの結婚式はまだまだ続くのだ。

 

 

 

 

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