2016-05-18 風が巻く道 仕事に疲れたとき、この空を眺めにこの場所に来る。ここは地下の搬入口。地上と地下をつなぐ細い抜け道。行き場を失って巻いている風は、そこで立ちつくす人の耳元でささやく。私はどっちに吹けばいいの、あなたはどっちに吹きたいの、と。未練を残す初夏の太陽と、冬を切り抜けて再び緑と自信にあふれたユリノキが、少しの間対話する。明日はどんな風が吹き、空はどんな色をするのだろう。やがて夜の帳が降りるまで、ただ眺めていたい空である。