血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

2019-01-01から1年間の記事一覧

光を導く者たち

「カテーテルって何よ?」……細い管ですね。「日本語でなんて言うのさ?」……医者はカテーテルとしか言わないけど、カテーテルを作ってる会社が、医療用具として認可を取るときの名称は、「医療用嘴管(しかん)及び体液誘導管」という。ちなみに製品の説明書…

葉影

穏やかな昼下がりうたた寝の波長に合わせるようにしなやかなmotion artifactがFOVの端っこを揺らす レースのカーテンに映ってはにじむ葉影が屋外の風を知らせていた 「散歩の時間か。」 僕はゆっくりとソファから身を浮かせる *motion artifact(動きによる…

ランタナにキタテハ

真夏の光の下、活動的に飛び回る。昆虫も暑さを感じるはずなのに。 キタテハ ランタナの方は、写真下部に、ゴツゴツした緑色の実を結びつつある。まるでグレネード(手榴弾)のようだ。これが炸裂したら…。確かに、帰化植物の域を超えた、侵略植物と言われて…

癌とガンとがん

がん、癌、ガン、腫瘍、肉腫、悪性新生物、cancer、sarcoma、tumor、neoplasm、そしてmalignancy。 普段何気なく使っている言葉。あなたは正しく文字を選べますか? まず、生物の身体には、ある時、異常に増殖した細胞が現れることがあります。それが固形を…

散形花序?

散形花序 帰り道、遠くに太平洋を望む、日当たりの良いなだらかな坂道を登りきったところで、そいつらは、この世の春を謳歌していた。土砂で詰まりかけた側溝に沿って、たくさんのvivid な散形花序(後述)が群生している。 GreenSnap に尋ねたら、今回も一…

驛舎

〜眠り・夢・恋〜 いつからだろう?夢をあまり見なくなった。中高生の頃は、夢の中の出来事で悲しい思いをすると、涙を流しながら夜中に目覚めたりすることが、しばしばあったのに。 でも昨夜、そんな夢が久しぶりに訪れた。セロトニンがたくさんでればいい…

感慨

長丁場の学会が終わり、ANA便で福岡を後にし、帰途に着いた。明日はまた、青空が映るまで靴を磨き、新たな一歩を踏み出そうと思う。 しかし今は、寂しいような、もう体力の限界のような、そんな気分でもある。毎日が「やりたいことと、やれることのギャップ…

IVR(アイブイアール)?

針の穴から行う治療? 良く、先生は何科ですか?と訊ねられます。一応、放射線科です、とは答えますが、これで私のしている仕事を理解していただけることは、 ほぼありません。 まず、放射線を照射して主に癌の治療を行う「放射線腫瘍科や放射線治療科」とは…

横浜は特別な場所

4月第三週の木曜から日曜まで、僕ら放射線科医にとって、年に一度の大規模な学会が開催される。巨大過ぎて、もはやここパシフィコ横浜でしか開催できなくなっている。 ラジエーションハウスというドラマがまあまあの滑り出しのようだが、この学会はまさにそ…