血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

生きねば

僕が小学生の頃、千葉県では成田空港開港に反対する三里塚闘争が激化していた。実家の近くで、燃料輸送用パイプライン工事の説明会が開かれた時、左翼活動家が大集合したのを覚えている。僕が通学していた千葉大学西千葉キャンパスにも、過激さの差こそあれ…

妄想?

「妄り」と書いて、何と読むかご存じですか?運転手には妄りに話しかけないで下さい、とか、芝生には妄りに立ち入らないこと、と言うときに使います。そう、「みだり」と読みます。(みだら、ではありませんよ。だいぶ違いますからね。) では、妄りとはどう…

Wire on G String(G線上のワイヤ)

G線上のワイヤ 何年か前、手技中にこのX線写真を撮った。 白い線はガイドワイヤと呼ばれ、血管や空洞内の経路を探るために用いられる。この写真では、ワイヤが腹腔で巻き、偶然「ト音記号」を形作った。 J.S.バッハの音楽は「G線上のアリア」だが、これはさ…

日が昇る方向を示せ

日が昇る方向を示せ 時間・方向・認識などが出来なくなる、認知症の中核症状だ。これを英語で"disorientation"という。オリエンテーションが無くなる、という意味だが、この"orientation"という言葉、何かに似ていないだろうか? 東京ディズニーリゾートを運…

宮沢賢治:碍子とは

グランド電柱(宮沢賢治:春と修羅より) あめと雲とが地面に垂れすすきの赤い穂も洗はれ野原はすがすがしくなったので花巻グランド電柱の百の碍子にあつまる雀 掠奪(りゃくだつ)のために田にはいりうるうるうるうると飛び雲と雨とのひかりのなかをすばやく花…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術No.5 ビーズによる肝臓がんの治療例

今回は僕が過去に行った治療例を実際の写真を使って解説します。 治療例①巨大肝臓がん ↓これが肝臓がんの画像(血管造影)です。赤丸で囲ったところに巨大な腫瘍が二つあります。(肝臓がんには血管が多いので、蛇行した異常血管がたくさん見えます。) 造影…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術No.4 ビーズ治療の手順その2ビーズ注入編

前回の記事では、治療に入る前の準備について解説しました。今回はいよいよ『抗がん剤溶出性ビーズ』を肝臓がんに注入する様子を解説します。 ◆肝臓がんのビーズ治療の流れ ビーズを使った肝臓がん治療(肝動脈化学塞栓療法)の大まかな流れは次の通りです。…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術No.3 ビーズ治療の手順その1準備編

前回、前々回は手術による肝臓がん切除が困難な症例の治療方法や、治療で使用するビーズについて解説しました。 今回からは、いよいよビーズ治療の一連の手順を解説します。ただ、少し長くなりそうなので、準備編と治療編の2回に分けて解説しようと思います…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術No.2 治療で使うビーズを見てみよう

今回は治療で使うビーズについて解説します。 肝臓がん治療でビーズを使う場合の背景などは下記の記事をご覧下さい。 ↓ビーズ治療記事まとめ↓ ビーズ治療(ビーズTACE)のまとめ - 血管探索記drmasa.hatenablog.com 【治療で使うビーズ(球状塞栓物質)と使…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術 vol.1 ビーズ治療の概要と背景

前回の予告通り、数回に分けて「ビーズ」を使った肝臓がん治療を紹介させて頂きます。第1回目となる今回は、ビーズを使った肝臓がん治療の概要と背景について解説します。 【肝臓がんのビーズ治療とは?】 ◆まずは知っておきたいこと テイス(TACE/肝動脈化…

ビーズでがん治療?肝臓がんの化学塞栓術 予告

手術が困難な肝臓がんの治療方法の一つにビーズを使った血管内治療がある。 と、サラっと言われても「なんだビーズって!?」と思う方が殆どだと思います。それもそのはず、この治療は平成26年に保険診療が適用されたばかり。日本国内ではまだ新しい治療法の…

腹部大動脈瘤のステントグラフト治療 EVAR

腹部大動脈瘤の治療ひとつ『ステントグラフト治療EVAR(イーヴァー)』 もし腹部大動脈瘤と診断され、治療が必要となった場合は、開腹手術などで大動脈瘤を切除し、代わりに人工血管に置き換える手術や、開腹せずに人工血管にステントという金属性の筒を張り…

肉は牛肉、豚にあらず(^∞^)!

今から数年前の話題を一つ。 8時間を超える手術の後で行ったお好み焼き屋さんで、師匠がこう言われた。 「大阪では肉といえば牛肉のことや」 ちなみに僕は血管内治療を生業としており、師匠もまた同じである。彼はコックさんではない。つまり、彼のこの発言…

駆け出しのころ

20年前の夏、27歳で医師3年目の僕は、大学院博士課程の一年生に在籍していた。 この夏は記録的な猛暑(1994年猛暑)に見舞われ、東京でも39℃を超える最高気温が観測されていた。大学入学以来、扇風機で過ごしていた僕も、医師になって給料をもらえる身分にな…

どこついだ?桜と杉菜

今日、近くの小学校に満開の桜を見に行った。その帰り道、近くの原っぱで土筆(ツクシ)が群生しているのを見つけた。ずっと忘れていたけれど、ツクシで思い出したことがある。 僕がまだ小学校にあがる前、父方の祖父が亡くなった。5月のことだった。人の死…

読み違い 聞き違い 勘違い

読み違い 聞き違い 勘違い 僕は小さい頃、祖母とよく旅をした。そんな時、国鉄の駅階段で目にしたのは「おり口」「のぼり口」の札である。これを僕は、命令形で読んでいた。 つまり「下りろ!」「上りろ!」という具合である。しかし、いくら国鉄でも客に命…

自己紹介

ご来訪有難うございます これまではアメーバブログを利用していましたが、思うところあって、はてなブログに移ってきました。 私はこれまで、専門としている腫瘍や外傷の血管塞栓治療、および動脈硬化性病変に対するカテーテル治療(脳、心臓を除く)を用い…