血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

2015-01-01から1年間の記事一覧

結果より原因に切り込め・・・とはいうものの。

私が医学生の頃、所属していた医学英語のサークルでフィンランドの先生をお招きして勉強会をしていました。彼は今では当たり前になったキシリトールの研究をされていましたが、当時はまだ、誰もそんな物質を知りませんでした。 ある時、勉強会で当てられ質問…

北の国から2015 初めての北陸新幹線

初めての北陸新幹線。 1人がけのシートは快適そうですが…あれ?シートベルト!? これからどんなアトラクションが楽しめるのか、ドキドキしますね。

穴があったらどうしよう

「穴があったら入りたい」って、思ったことあるかな?そんなとき、もし本当に穴があったら、君は入る?もし入るとしたら、いつまではいっていようか?そおっと穴から顔を出した時、君がみる景色はどんなもの? 「墓穴を掘る」なんていうじゃない?もしそんな…

ワニの謎

ワニと言えば、通常、クロコダイルかアリゲーターを指し、それらは日本には棲息していない(はず)。しかし、日本にも「鰐」という文字があり、これを「ワニ」と読む。古代日本語で「鰐」は、今で言う鮫のことを指した。現代では、爬虫類のワニを漢字で書く…

さびしい

寂しい淋しいさびしいさみしいあなたは使い分けていますか?公用表現、そして常用漢字では「さびしい(寂しい)」を使いますが、「淋しい」も誤用ではありません。あえていえば、漢字の成り立ちから考えると、「寂しい」には「あるはずのものが、あるべきと…

サイジング(メジャーメント)

大動脈瘤をステントグラフトで治療するためには、完全に瘤と血流を遮断することが必要です。そのためには、瘤の入り口(心臓側)と出口(末梢側)に、少しずつ余裕を持たせてグラフトを置かなければなりません。これをシーリングゾーンといいます。そうしな…

プロバンスの結婚式 最終回

翌日、僕の宿泊するホテルに集合した5人は海へと出かけた。せっかく地中海まで来たのだから海水浴をしなければ。 ホテルのプライベートビーチへ行き、夕方まで巨大な砂の楼閣を作り、泳ぎ、そして昨夜のことを思い出しながら青空を見上げた。海の水はまだ冷…

プロバンスの結婚式⑤

プロバンスの結婚式はいよいよ佳境に入った。そこは瀟洒なレストラン。手入れの行き届いた南国情緒あふれる植物が、駐車場からアプローチへと導いてくれた。会場はドイツ語を話すグループとフランス語を話すグループに分けられたが、どちらにも所属する人も…

プロバンスの結婚式④

前回↓ <a href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/26/121753" data-mce-href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/26/121753">プロバンスの結婚式③ - 血管探索記</a>drmasa.hatenablog.com 役場、教会、そしてガーデンパーティと続いてきた式次第に参加していた人々は、午後になると皆、帰って行った。そこで新婦のご両親がこう仰った。 「ではこれからお昼寝をしましょう。好きな場…

プロバンスの結婚式③

前回↓ プロバンスの結婚式② - 血管探索記drmasa.hatenablog.com フラワーシャワーの祝福を受けて教会を出た新郎新婦は、参列者とともに新婦の実家へと向かうことになる。この地方では新婦サイドが結婚式の儀式一連を、取り仕切る習わしなのだ。新婦のお宅に…

プロバンスの結婚式②

&lt;a href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/17/092516" data-mce-href="http://drmasa.hatenablog.com/entry/2015/08/17/092516"&gt;プロバンスの結婚式① - 血管探索記&lt;/a&gt; ↑前回 結婚式はまず、モンペリエの町役場で婚姻届を提出すると…

プロバンスの結婚式①

プロバンスの結婚式(序章) - 血管探索記↑前回 ラベンダーの見頃を少し過ぎ、地中海での海水浴に向いていて、蝉時雨が聞こえていた、あれはそう、2001年7月下旬のことだった。 ドイツから車で二日がかり。途中リヨンで一泊しながらプロバンスへと南下してい…

プロバンスの結婚式(序章)

1999年6月初旬、僕のドイツ留学はゲッティンゲンという街にある語学学校、ゲーテインスティテュートからスタートした。 そこで何とはなしにできた仲良し五人組は、我が生涯の財産となった。 僕以外の四人は以下のようなメンバーだ。アメリカハーバード出身で…

性格は意識より深し

人間の性格は千差万別。一朝一夕に変わることはない。 心配性が身についている患者さんのカテーテル検査中に、挿入したカテーテルのわずかな刺激(普通の人なら何でもないレベルの刺激)が血管を激しく縮ませてしまうことがある。 これはもちろん無意識の現…

蝉時雨

数年前、僕が住んでいたアパートの目前には近鉄 河内天美の駅があり、駅前広場に植えられた数本のケヤキには、無数のクマゼミがいた。 彼らは今を盛りと蝉時雨を奏でるが、そこにミンミンゼミやアブラゼミは全くいない。関東者の僕からすれば、異様な光景、…

ホワイトボードあるある

なぜか近くに油性マジックが置いてある。

桜が肝臓に見える件

僕の眼に映る樹木は、時として僕が探索している血管構造にそっくりだ。 例えば、写真に載せたこの木は普通の桜だけれど、解剖学的に肝臓と酷似している。 図のA#というのは、亜区域動脈に付けられた番号だ。ちなみにこの画像は、左前斜位から撮られている、…

エンボスフィアを染めてみました

以前紹介した肝臓がんのビーズ治療で使用するビーズ「エンボスフィア」。 着色すると・・・着色料は秘密です。

いつまでも見ていたい空

空はいつも同じじゃない 天候のことを言ってるんじゃないよ 同じ場所、同じ季節に、同じ時間 いつも通りの光がさしていたとしても 空はまったくちがう景色をつくる いつまでも眺めていたい空が、そこにある。 (写真: 東京医科大学茨城医療センター)

時には恋を

あなたが放つ いまの心が しみ入るように私に届く。 てさぐりの気持ちに響きこだまし いのちの鼓動を呼び覚ます。 まるで雨上がりのあの虹のように すがすがしい七色の衣の裾で。

瞬間を見据える

高校の修学旅行から帰った後、国語の授業で俳句を詠んだ。 「節冴えて たけとりの夢 はるかなり」(嵯峨野竹林にて) これは自分の作品だが、同じ学年の誰かがこう詠んだのも憶えている。 秀作だと思った。 「石庭や 小石のごとき 永きとき」(龍安寺石庭に…

文字は口ほどに物を言わない ~「ん」を綴る~

日本語の「ん」は難しい。 「ん」は撥音とも呼ばれ、実は、主に三つの違う音を一つの文字で表してしまっている(細かく分けると10にもなるらしいが…)。日本人は、「ひとつのひらがなには、常に一つの音が割り当てられている」と信じているから、この事実を…

IVRカンファレンス『ビーズの真相』のご案内

平成27年7月17日金曜日に開催される『第37回つくばIVRカンファレンス』に講師として登壇します。 本会は医師、看護師、放射線技師や、IVRと関わりのあるコメディカルスタッフを対象とした学術講演会になりますので、ご興味のある専門職の方は是非ご参…

青空が写るまで磨きます

僕が小学校4年生くらいの時、学級文庫に、戦後親を亡くした子供達が共同生活をする施設の話がおいてあった。「緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台♪」という流行歌の時代に書かれた本だと思われた。その中で、少年たちが駅で靴磨きの仕事をして日銭を稼…

GS night shift vol.6 軽自動車は軽油じゃ・・・

油種間違いはもっとも恐ろしいミスだ。 同僚で「軽自動車には軽油を入れる」という固定観念から抜けられない人がいた。そして実際に、軽自動車(ガソリン車)に軽油を入れてしまったのである。この場合、対処方法がある。JAFを呼んでタンクの軽油を抜き取っ…

GS night shift vol.5 安全確認怠るべからず

世の中にはいろいろな人がいる。さすがに夜中ともなるとあまり無理な要求は無いが、まだ正社員さんがいる夕方の時間帯には、ハプニングがある。 あるとき、店長が対応したお客さんが、エンジンルームの点検を無理矢理要求した。本来していないサービスである…

GS night shift vol.4 給油口はどこだ!

ガソリンスタンドは現在、セルフが大部分だ。 僕がドイツに移住した時(1999-2002)、欧州では既にそうなっていたが、僕はバイト経験のおかげですんなりとそのシステムに溶け込めた。だが、バイト時代(1986ー1990)はセルフのスタンドは日本に存在しなかった。…

ガソリンスタンドの夜勤というもの その3

苦しい夜が明け、疲れた身体に鞭打つようにラッシュが始まる7時半頃、正社員さんが出勤してくる。そしてまずチェックされることは、金銭出納が正確であるかどうかだ。 簡単に言えば、前夜、社員が帰宅した際にチェックしたレジの金額と、現在の金額との差額…

ガソリンスタンドの夜勤というもの その2

僕がアルバイトをしていたガソリンスタンドは日本石油(現在のENEOS)だった。制服に着替えた状態でスタンドに到着すると、まず全員集合し、店長からのお言葉がある。そして、バイトだけ集まって大声で「規則」を叫ぶ。 「ひとーつ!油種を確認する!」「ひと…

ガソリンスタンドの夜勤というもの その1

僕が大学1年~4年くらいまで、常磐自動車道守谷サービスエリア(上り)のガソリンスタンドで夜勤のアルバイトをしていた話はまだ書いたことが無かったように思う。ここでは、数限りなく、いろいろ貴重な経験をした。 大学の授業が終わってから、夕方6時頃ま…