僕の眼に映る樹木は、時として僕が探索している血管構造にそっくりだ。
例えば、写真に載せたこの木は普通の桜だけれど、解剖学的に肝臓と酷似している。
図のA#というのは、亜区域動脈に付けられた番号だ。ちなみにこの画像は、左前斜位から撮られている、という設定にしてある。
A2-4は左肝動脈、A5-8は右肝動脈の枝である。
残るA1は、左右肝動脈の根元から控えめに一本ずつ出るが、ここでは確認出来ない。また、この「 症例」 では、右肝動脈から胆嚢動脈が二本起始している。
いつもこのような木を見ながら、あそこのカーブでは、ガイドワイヤーをこう曲げ、あっちの角ではマイクロカテーテルをああひねり、などと想像を膨らませる。
はっきり言って、かなり変な人である。
ええ、自覚しています。