血管探索記

腫瘍や血管の病気のこと、日々に出会ったものから連想する科学、旅行記、コラムなどを記します。

一期一会

一期一会という言葉がある。

 

このIT社会、ジェット機で地球の裏側まで、スペースシャトルで宇宙ステーションにまでいける社会では、もう死語になっただろうか?

 

ニルスのふしぎな旅に登場する、「呪いを受け百年に一度、一時間だけ姿を現す港町ビネタ」は、その一時間の間に、ビネタ人ではない誰かが何か一つでも買い物をしてくれなければ、また百年、海の底に沈んでゆく運命だ… 

この町が目の前に現れる少し前に、浜辺で小さな銅貨を拾ったが、自分には何の価値も無いからと捨ててしまったニルスには、期限までに買い物をしてあげることができず、あと一歩というところで、ビネタは深海へと消えて行った。

 

すぐそこにあるものに手が届かないことがある。一度手放したら二度と手にすることの出来ないものがある。

 

人はきっと、互いに必然性をもって出会う。それを意味あるものにするには、漠然と生きているのでは不十分だ。

 

自らが幸せになるために生き、誰かの幸せを願うために生きる。

 

そうでなければ、日々あなたの手のひらから、大切なものが、まるで海辺の砂のようにさらさらと、流れ落ちては消えて行く。

 

f:id:drmasa:20170206111459j:image